日本でUberがイマイチ盛り上がってない
ボケーっとUberに乗りながら書いてます。
個人的に金払ってまでビニールシートで変な臭いがする乗り心地の悪い車には乗りたくないのと、ルートの案内と支払いから解放される便利さが好きで東京でも積極的にUberを使ってます。私の行動範囲がほとんど六本木を起点にしているので何とかなっているのですが、ご存知の通り都心部以外ではまだUberを捕まえるのは至難の技で、認知度もイマイチといった印象。私みたいに東京でもUberを使う人は少数派で、普通はタクシーとか電車とかで十分と思われているのではないでしょうか。一方海外の多くの都市ではまったく逆の状況が起きていて、ここ1~2年は「もうローカルのタクシーになんて乗らないよ」という人が増えているのが現状です。
アメリカでUberに乗る理由
出張でサンフランシスコ、ロスアンジェルス、ニューヨークの3都市をしばしば訪れるのですが、基本的に移動はUberです。なにせ日本と違ってまず流しの一般のタクシーというのが捕まらない、というあんまり見かけない!ホテルの前とか有名なレストランの車寄せなんかには数台停まってたりするんですが、日本のように家やオフィスを出てちょっと歩くうちに空車に出会うなんてケースはなかなかありませんし(ニューヨークは結構いるけど)、少し市街から離れた隠れ家的なレストランに夜行こうものなら、終わったあと深夜に治安にガクブルしながら店の前で空車が通るまで待つとか、マジあり得ません。電話で呼んどけばいいじゃんとか思われるかもしれませんが、言うのは簡単ですが酷く英語が訛ってて何言ってるかわからないような交換のオジサンに、さらに酷く訛ってる自分がいまどこにいるか伝えて正確に来てもらうなんて結構厳しいっすよ(しかも結局すっぽかされて来ないか、ようやく来てもボロクソのパトカーの払い下げのタクシーでエアコンぶっ壊れてるわ車内激しくターメリック臭いわとかあるあるですよw)。あと欧米人は良い加減チップの習慣ヤメれ。毎回計算わからん。
イギリスでUberに乗る理由
ロンドンはそこら中にロンドンキャブがいるので、空車を捕まえること自体は簡単です。でもこれも乗ったことある方はご存知だと思うのですが、なんか風情はあるけどギコギコ古いディーゼルの車で、カード使えなかったり運ちゃんがてやんでぇモードのロンドンっ子で相変わらず何言ってるのか話全然通じなかったり、さらに車内にパーティションがついててインターホンで会話するんですけど大抵スピーカーぶっ壊れてたり。とにかく外国から来た人間にとっては気苦労が多い乗り物です。あと日本と違ってどれが空車なんだか良くわかんないですけど、私だけ?
東南アジア各国でUberに乗る理由
ボッタくり対策!これに尽きるw
21世紀のいまになっても、遠回りされたりボッタくられたり乗車トラブルは多くの都市で日常茶飯事。あと運転手さん英語話せないケースも多いのでこれもとても難しい。Google Mapを見せてどこそこに行って欲しいと頼んでも「字が日本語とか英語で読めない」とか言われちゃったりして、いやお前そこはプロなんだからなんとか雰囲気と地図のビジュアルで行ってくれよと。
ニーズとマッチして初めてユーザに評価される
海外の多くの都市では上記の通り「既存のタクシーが不便だ」というそもそもの潜在的ニーズがあったわけです。そこに若干のプレミアムな値段を乗せても使いたいと言う需要を満たすことができるチャンスが元々あったわけです。一方の日本ではタクシーはそこら中に空車が余りまくってますし、値段も一貫しててボッタくりとか防犯上の問題もほぼ無い。そうなると、わざわざプラスアルファの金額を払って少し待ってまで良い車に乗れるってだけでは、ちょっと難しいでしょう。さらに実際のところは他の国では個人が自分の車を持ち込む白タク的な低価格なUber Xなどが普及していて、価格競争力も身につけているところが凄いところでして。日本だと法律の壁があるので難しいですが、逆にその壁が無かったとしても、多少リスクとってどんな車が来るかわからないのを待って乗るかなぁ・・・?みなさん引き続き安心できる普通のタクシー選ぶ人が多いんじゃないでしょうか。
シェアリングエコノミーとかIoTのテクノロジー自体がエラいわけではない
で、そろそろUberが目的地についちゃうんで無理にまとめると、私がいつも思うのは
優れたUI(ユーザインターフェイス)はテクノロジーを凌駕する
ということです。海外でのUber体験は素晴らしいものでファンがどんどん増えているわけですが、これはUberのテクノロジーが素晴らしかったというだけではなく、その利用体験、いわばサービスのUIが潜在的なニーズにバッチリマッチしていたということに他ならないと。だから日本でも技術的には同じものがローンチされたけどイマイチパッとしないわけです。またもっと言ってしまうと、日本の既存タクシー業界もそれなりに必死で、タクシー配車アプリとか一生懸命開発してるわけです。もしかしたら旧式の無線配車に無理やり割り込んでP2Pじゃないのにアプリから各社横断して配車するわけですから、技術的なことだけで言ったらものすごい開発コスト掛かってるかもしれない!・・・けど、画面に空車見えてるのに「見つかりませんでした」になったり、「空車が見つかるまで最大2分ほど電波の良いところでお待ちください」とか、UIと体験がヒドすぎる・・・見事なまでに既存の電話&無線配車の入り口だけアプリのテクノロジーで取り繕った結果がコレなわけです。何万行のコードも、「アメリカではいま大ブーム」も、結局のところ「こんなのが欲しかった」「これは使いやすかった」というエモーショナルなニーズには勝ち目は無いと思うわけです。この辺、IT事業者として自戒の念も込めて。
あ、ちなみにまったく個人的なアイデアなんですが、日本のタクシー業界は独自インフラを早く諦めて、全部Uberのインフラに乗っかっちゃえば良いと思います。Uberもなんとなくグレーな自社配車はやめて、代わりに日本の全国の無線配車にシステムをライセンスする代理店として機能すれば良いんじゃないでしょうか。大きなコミッションを取るのは難しくても、タクシー会社って当然カード会社とかにもコミッション払ってるはずなので、それぐらいの利幅は狙えるんじゃないかと。評価システムはタクシー会社にも人事データとして供給できてwin winな気もするし・・・でもそういうアイデアってとっくに検討されてて、何かできない理由があるんだろうな、きっと。