ニコニコプレミアム会員数減少に占う動画プラットフォームの未来

ニコニコ動画のプレミアム会員数が減少に転じたと!?

ネット上では結構な衝撃を持って受け止められたこのニュース、「言われてみれば最近ニコニコを見なくなった」などとコメントをしている人も多かったですし、新規プレミアム会員獲得のための次の打ち手は何になるかなどを活発に議論しているのも見かけたのですが、私は個人的にはこれはインターネット人口のモバイルへのシフトに伴う必然的な動きであり、現在のニコニコプレミアムのサービスで会員を取り戻すことはもうできないと思っています。

引用元:ニールセン「ビデオ/映画」カテゴリの最新利用動向 2015

上記2015年のニールセンの調査でも指摘されていた通り、元来ニコニコ動画の視聴者は若い男性のデスクトップ比率というのが他の動画プラットフォームより高く、恐らくこれは現在も顕著な特徴なのではないかと推測します。

昔からニコニコ動画を見ていた人はわかると思いますが、その醍醐味は暇に任せてパソコンでずっと見続ける、そして匿名でコメントを残すあの独特の共同作業的な空気にあるわけで、スマホからちょこちょこいじって一方的に見て楽しむというのからは相当ズレています。もちろんこれまで存在したPCでじっくり視聴するユーザは「ロイヤルカスタマー」だと間違いなく言えるわけで、現に動画プラットフォームで近年もっとも重要視される指標である視聴時間を見ると、ニコニコのPCユーザはモバイルの9倍の視聴時間をもたらしているとのことで、ロイヤリティはめちゃくちゃ高いわけです。

引用元:ニールセン「ビデオ/映画」カテゴリの最新利用動向 2015

ニコニコのコンテンツが悪くなったんじゃない

ニコニコ動画の世界観は独特ですが、いまも変わらず生き続けています。昨今コンテンツのマネタイズを目指すトップクリエイターの間ではYouTubeの利用が盛んになってはきていますが、それでもゲーム、ボカロなどUGC独特の世界観を持つクリエイターはYouTubeとニコニコ両刀使いはまだまだ続くでしょう。

問題の本質はもうちょっと違うところにあって、私はこれは一般的なインターネットユーザの利用形態のシフト、特にかつてはコアユーザ予備軍だった若年層の男性ユーザが、そもそもデスクトップPCでインターネットを楽しむという経験を持たないままネットに現れる世代にシフトしてきたことが原因だと思います。どんな会員ビジネスでも常時人の入れ替わりはあるわけで、退会人数を新規獲得が上回っていることが大切なのですが、その新規顧客の対象になる「家でPCをいじくってる中高生」というもの自体が減少しているということは、そもそもターゲットがどんどん少なくなってきていると。これ、正直不可抗力です。どんなに説明してもスマホでしかインターネットを経験していない人が画面にコメントを叩き込んで弾幕を張ったりするあの楽しさを理解することは恐らく無いので、たぶんこのままでは新規会員は先細りになる一方でしょう。

動画プラットフォームはどこもモバイルには苦労している

そもそも、動画のようなある程度ボリューム感があって視聴するにはのめり込みが必要なメディアとモバイルの相性は元来あんまりよくありません。電車の中で音楽を聞くのと同じように動画を見ることができる人もいることはいるでしょうが、ジムでワークアウトしながら見る人はほとんどいないでしょう(たまにランニングマシンにいるけど)。しかもスマホで動画を見るというのは常にパケット量との戦いのリスクがあります。

現状ほとんどの動画プラットフォームは自らの力で「モバイルでこのサイトを見よう」という視聴者を育てたわけではなくて、勝手にモバイルにシフトしてしまったユーザを追いかけて必死になってモバイルに最適化してきたというのが正直なところではないでしょうか?YouTubeも広告の配信フォーマットやYouTuberが使える機能などのモバイル対応がPCよりも遅れているのは事実です。他の動画プラットフォームも、PCがベースだったものは同じく苦労しているに違いないと思います。しかもかつてEメールによるプッシュ型のプロモーションに頼っていた既存プラットフォームは、今後はLINEしか連絡手段が無いような若い世代をどうにかして自分のプラットフォームに繋ぎ止めていかないと、あっという間にMAUは低下傾向になってしまうでしょう。

一方でモバイルを最初から狙い撃ちした動画プラットフォームも出て来てはいますが、この世界はまだグローバルの覇者がおらず各国の市場にもローカルのアプリが乱立してまだカオスな状況です。縦型動画?6秒ショートフォーム?色々出ては消えな感じですが、これが平定されるにはまだ少し時間はかかるでしょう。

私個人はこの先しばらくの動向をこう見る!

以下、なんの根拠もない私の過去の経験と感覚によるこの先1~2年の予想です。当たったらなんかください!w

独立系プラットフォームは体力勝負で負けるところも出てくる

正直、過去数年オンライン動画回りはVCからの資金流入やニュース性も含めてなんだかとってもジャブジャブとバブっていました。しかしここに来てサービスクローズや事業売却などのニュースもぼちぼち聞こえ始めてるので、業界再編もあり得るかなと。動画事業はサーバ代などとてつもない固定費が掛かるので、体力勝負の様相も呈しつつ。vineはクローズしました。YouTubeはGoogleの強大な検索サーバーリソースにおんぶ抱っこですが、元々は独立した会社だったのがGoogleに買収されなければたぶん生き残れていなかったのではという話もあります。facebookもSNSのインフラがあっての動画事業でしょう。楽じゃないよね〜・・・

縦型動画はたぶん・・・そんなに流行らない

動画の世界はどちらかというとガジェット(機材)ドリブンです。プロしか使えなかったような機材が個人でも手が届く値段、使い勝手になってクリエイターのモチベーションと創造レベルが日々アップすることと、そういったものを手軽に見たいという視聴者の双方のシナジーで伸びる世界ですが、視聴者がスマホで見てるから動画も縦型で作りましょう、というのは元々ちょっと厳しいストーリーな気がします。今後も縦型動画撮れるぜハイクオリティプロ機材とかがバンバン出てくるとは思えないし、クリエイター側のエネルギーが高まらない以上はエコシステムとして盛り上がるのは難しいのではないかなぁ・・・その間にスマホが「これでNetflixを楽しもう!」とか横型になっちゃったりしてw

オリジナルコンテンツは日本ではまだ早い

NetflixやAmazonがテレビクオリティ(いや映画か?)のオリジナルコンテンツに莫大な資金を投入してどんどん公開しています。海外ではある程度の成功を収めているように見えるのですが、日本はまだ数年は難しいのではないでしょうか。なにせ欧米のソレは、まるっきりかつてのテレビのコンテンツ、製作陣、出演者、視聴者を丸っとオンラインにスワップして、飲み込んじゃってるという構造な訳です。一方日本はテレビがまだまだ強い!アメリカなんてケーブル局どれ見ても再放送ばっかで全然面白くないし、イギリスなんてテレビつけてチャンネルひねったら数チャンネルしかなくてほとんどBBCだし(オーバーですがほんとこんな印象)、要は海外ではすでにテレビ文化が死んでたところ、ネットが視聴者を救ったんですよ。

さあ当たるも八卦当たらぬも八卦・・・

 

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