YouTubeでお仕事案件動画を公開する時知っておくべきこと

セレブのインスタに米連邦取引委員会がステマとして注意

日本の公正取引委員会に相当する米国FTCが、ヴィクトリア・ベッカムやジェニファー・ロペスなどのインフルエンサー90人に対して、一見広告だとわからないようなスポンサードコンテンツ、俗に言うステマに対して警告書簡を送ったというニュース。日米問わず、実際には広告主からの報酬の授受があるにも関わらずそれと分かるようには表示しないコンテンツについては厳しい目が向けられています。

最近YouTubeの動画クオリティについて疑問を呈する広告主からの予算引き上げや、それに対してのGoogleのアクションとして以前より動画のクオリティを厳しく精査し、一定の水準に満たないものには広告を配信しないという決定などを受けて、YouTuberの間ではこれまで以上にいわゆるスポンサーからの「お仕事案件」(Googleを通過せずに直接広告主から請け負う広告コンテンツ)への依存度が上がっていくことが想定される中で、このFTCの警告については皆さん慎重に受け止めた方が良いと思われます。

※スポンサーからのお仕事案件について詳しくは過去の記事参照

YouTuberが好きなことで生き続けるために

2016.12.15

YouTuberが知っておかなければいけないお仕事案件の公開方法

YouTubeではこういったスポンサードコンテンツを禁止してはいませんが、ポリシーに基づくガイドラインを定めています。詳しくはこちらの有料プロモーション(プロダクト プレースメント、おすすめ情報等)というヘルプページを参照していただきたいのですが、重要な点についていくつかご紹介します。

まず大前提として、仮にGoogleを経由しない広告案件だったとしてもYouTubeで公開する以上はYouTubeの広告主向けポリシーに準拠していないといけないということです。例を挙げますと・・・

アダルトコンテンツ

裸体が映ってるようなポルノがダメなのは当然として、性的内容を示唆するポーズなど間接的なアダルトも原則禁じられています。あくまでジョークの一部としてそういった内容の動画を作られる方は結構いると思うのですが、境界線は結構微妙なので注意が必要です。

ギャンブル・ゲーム

紹介するギャンブルやゲームがその地域で合法なのはもちろんのこと、責任と分別あるゲームプレイについての情報をランディング ページに明示することや、未成年を対象に配信しないことなどが求められています。日本では公営ギャンブルの広告などが想定されますが、視聴者が誰になるか正しく見極めることと、もし万全を期すなら未成年向けには配信をしない設定にした上で、動画の中で対象年齢に満たない者は参加できないことなどを述べた方が健全ですよね。

未成年への配信停止は、「動画の管理」>「詳細設定」>「年齢制限」のチェックボックスで自分で設定することができます。

医薬品・処方薬

これも法律に絡んで厳しく制限されています。一般的に日本では製薬会社側が常日頃厳しい法規制に準拠した活動をしているのであまり問題が起きることは無いと思いますが、並行輸入の美容薬品などに怪しげなものがあるので、ビューティー系の人などはそういったクライアントのお仕事は注意しないといけませんね。

さらにもう一点、これもポリシーで要求されている作業になりますが、対価を受け取ってスポンサーのために動画を公開した時には、それをYouTubeに報告しないといけません。この設定は「動画の管理画面」>「詳細設定」の中の、「コンテンツに関する申告」というチェックボックスで行います。このチェックボックスは2段階の設定になっており、1番目のチェックボックスをONにすることでYouTubeへの申告、さらに視聴者へもスポンサードコンテンツであることを明示したい場合は、2つ目のチェックボックスもONにすることで、動画の最初に「プロモーションを含みます」という字幕が表示されるようになります。現時点ではYouTubeが求めているのは前者の作業のみで、後者については視聴者へ透明性を確保したい場合は使えるオプションということのようです。

また、この2つ目のチェックボックスを使う代わりに、動画の冒頭などに「提供・○○株式会社」といった画面を差し込むこともよく行われています。

注意しなければいけないのは、よく動画の詳細欄に「提供:XX」とか「この動画はXXXの提供で制作されました」とテキストを入れている人がいるのですが、それだけではYouTubeのポリシーとしては不十分であるということで、本来は管理画面内でYouTubeに電子的に申告することが求められているわけです。

さらに細かく言うと、これらの作業でYouTube上でのポリシーには準拠したとしても、法的な責任(「優良誤認」や「不当表示」)などに問われることがないかというと、ちょっと別な話にあります。広告コンテンツの表記方法については現時点でも様々な議論があり明確な規制が存在するわけではありませんが、皆さんが動画を作る時に心がけることができるとしたら、「視聴者がお仕事案件動画だと絶対に分かるようにする」という点に尽きるかと思います。

YouTubeにお仕事案件であることを告知した場合に起きること

前述のチェックボックスをONにした場合、広告の配信に若干影響が出る可能性があります。

  • 競合する広告主の広告が表示されないようになる(かも?)
  • YouTube Kids(日本未公開)で動画が配信されなくなる(かも?)

なぜ子供向けアプリのYouTube Kidsで動画が配信されなくなるか?ということについては、下記のニュースで背景を知ることができます。YouTube Kidsは本来広告が表示されず、子供に対して優良なコンテンツのみが閲覧できるということを唄っているわけですが、一見普通の動画に見えて実は広告主からお金をもらって作られたような宣伝動画がすり抜けてきて、判断能力が未熟な子供に商業コンテンツを見せることを防止しているわけです。

競合広告が表示されなくなることで広告単価が下落したり、YouTube Kidsで見られないことから海外での子供の視聴が多い動画は再生回数が下落したりすることはあるかもしれませんが、これはYouTubeのポリシーで定められている内容になりますので守った方が安全でしょう。特にYouTube Kidsは今後日本でもローンチされる可能性があるので、その際に動画の内容について審査が厳しくなり、ポリシー違反などが指摘されることは防ぎたいところです。

またステマに関しては各国で規制状況が異なりますが、YouTubeで動画を公開することは全世界へ向けて発信しているということを忘れてはいけません。設定をすり抜けて訴訟大国アメリカのYouTube Kidsで動画が配信され、間違って子供が視聴したことが原因で何か事故や事件が起きた場合・・・皆さんがどのような責任に問われるか想像すると怖いので、皆さん気をつけましょう。

 

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