YouTuberが好きなことで生き続けるために

海外のYouTuberから学んだ好きなことで生きていくための秘策

少し前、ある海外のYouTuberの家に遊びに行った時のことです。当時からアメリカ外のYouTuberとしてはかなり成功している部類のクリエイターではありましたが、それでもPewDiePieのように億万長者というレベルに達しているとは言い難いイメージでした。ところがどうしてその生活はなかなか豊かで楽しそうなもので、日本で言うと裏原宿のようなお洒落な街にスタジオ兼事務所を構えていて、裏方には従業員を雇って自分たちは出演と撮影に専念するチームワークが立派に完成していました。一体どのようにして(正直、どうやってそこまで儲けて)このライフスタイルを実現したのか聞いてみたところ、かなり興味深い納得の説明を得ることができました。

大切なのはレベニューミックスである

目からウロコだったのは、彼らの収入の中でYouTubeのパートナープログラムから得る金額は決してマジョリティでは無かったということです。具体的には、下記のようないくつかの収入源の組み合わせ(レベニューミックス)で生活を成り立たせており、結果的に総額では相当の年収を稼ぎ出していたのです。

YouTubeパートナープログラムの収益

まず一番に想像できるYouTubeでの再生に応じてGoogleから受け取る収益ですが、これは全体の半分以下、おそらく30%前後ぐらいとのこと。もちろん複数の収入源があることは想像できましたが、思ったよりYouTube自体での収入に依存していないのが驚きでした。ご存知のようにアドネットワークと視聴数に依存する収入は、コンテンツの人気や広告主のトレンドなど予測しにくい要素に影響を受けやすいため、あまり安定しない、ともすると明日をも知れないと言う弱みがあります。ここだけに依存するのは、売り上げ達成までひたすらビデオをアップロードし続けて粗製乱造する悪いスパイラルに陥る可能性は高いわけです。

スポンサーからの収益

彼らはYouTubeで築いた知名度を元に色々な会社からスポンサーを得ていました。内容は様々で、動画内でそのスポンサーの商品を紹介したり、プロダクトプレースメントとして登場させることで対価を得るなどして、毎月定額、あるいは案件(動画制作ごと)のスポンサー収入を得ているとのこと。これが下手したら年収の30~50%ぐらいに登るということでした。

マーチャンダイジング(物販)による収益

さらに彼らは自分たちのブランドを使ってTシャツやステッカーなどグッズ類を販売しており、これが残りの20~40%ぐらいというかなり大きな金額に達していることと、さらにこれらの収入は基本的に何もしていなくても一定のペースで入ってくる「自動販売機」のような役割を果たして彼らの生活を助けてくれているとのこと。よく見ると雇われている従業員は飛び込んでくる注文を元にラックからTシャツをピックすると、黙々と宛先を貼って発送作業を行なっていました。

一つの収入源に頼らないことでリスクヘッジをしていた

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彼らに言われたので印象に残っているのが「収入源を分散し、一部は何もしていなくてもある程度入ってくるようにしてあることで、リスクヘッジしている。そのために自分たちはクリエイターとしての制作に集中することができるし、万が一病気になって少し休んだりしても急に困ることはないようにしている」ということです。私自身もかつてBtoCのビジネスに携わっていた際に、新製品のスケジュールやボーナス商戦などに激しく左右される売り上げの波を、ある程度年間を通じて注文のあるBtoBのボリューム販売が安定して下支えしていたという経験もあるため、彼らのYouTuberとして以上にビジネスマンとしての工夫に深く感銘を受けたものです。

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日本で理想的なレベニューミックスを実現する方法

こと日本においてYouTuber、あるいはもしかしたらテキストのブロガーなどとしても生きていく場合には、このレベニューミックスによる収入源の安定化とレバレッジはものすごく重要かもしれません。なぜならアドネットワークは広告主同士のオークションで単価が決まるため、どうしても日本の市場は巨大な英語の市場に比べると単価が低く止まりがち、すなわち同じ視聴を得られたコンテンツの対価が総じて安くなってしまいがちです。さらに言葉の壁による視聴者数の限界を考えると、実績ベースの広告収入だけに頼るのはリスクが高すぎるでしょう。

一方で、スポンサーなどを自力で営業して獲得、契約、納品、支払いなどを繰り返すのは個人クリエイターのリソースではなかなか大変です。私の友人のアメリカのYouTuberは、たいして成功しているわけでもないのですがある世界的に有名なスポーツブランドに熱心に自分を売り込んで、結果的にその熱意と可能性に賭けたメーカーの合意を得てダブルネームのスニーカーを発売したりしました。しかしこれはいかにもオンラインスターに理解と可能性を感じることができるアメリカっぽい話でして、日本で大手の広告主相手に個人がピッチしまくっても、相手にしてもらうのはなかなか難しい話でしょう。個人で行うのが難しい場合、打開策としては他のサービスプロバイダーの力を借りるという手があります。いわゆるMCN(マルチチャンネルネットワーク)と呼ばれるような企業は、小さいYouTuberを束にして売り込むことにより、こういった「スポンサーのお仕事案件」を仲介できたりするケースがあります。さらには最近Googleに買収されたFameBitや、日本国内でもiCON CASTのように、クラウドマッチング的にスポンサーとクリエイターを仲介しているサービスもすでに存在します。

物販に関しては、もう完全に物流の手間をどう解決するかの問題だけといった感じです。うまく手離れのよい商流を築くことができれば、例えばあなたのチャンネル登録者が10万人なら、そのうち1%が利幅500円のTシャツを買ってくれるとして、1,000 x 500 – 経費で・・・などと、売り上げの見込みは意外と簡単に立つでしょう。個人が通販するための物流は、主にネットショップ向けのショッピングカートサービスや、倉庫でラック単位で商品を預かり注文に応じて出荷するようなサービスプロバイダーも多数ありますので、ぜひ探してみてください。YouTubeにはリンクカード機能というのがあり、これを使うと動画内のボタンをクリックするだけで承認済みの販売サイトに飛ばすような仕組みも作れます(ECはコンバージョン率大事ですよね!)。日本からはBASEなども承認されているので、こういったサービスを使うのも手かもしれません。え?デザインができないって?そういう時こそクラウドソーシングでロゴ制作とか頼めばいいんじゃないですか?(正しい使い方・・・)

なんか昨今のキュレーションメディア問題など、はじめに売り上げありきで空っぽの器にクズコンテンツを詰め込んでお金に変えるようなインチキビジネスに比べると、自分の創造したコンテンツをベースにファン層を構築し、それをレバレッジして商売の幅を拡大するような作り込みは、やりがいもあって楽しそうなもんです、ハイ。

 

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